温暖化時計
シャーマンが見ていた空は、どの宇宙だろうか?
その祈祷師は、鬼道をよくした。
流れ星は、案外地球の近くで光っていることがわかっている。
同じ流れ星が異なる星座をバックに撮影されているからだ。
「遠くの星座と、近くの星」と、彼女は言い、
「昼間に星が見えることは稀なの。」と、付け加えた。
「それは隕石か?」
「どこに落ちたかは、問題ではないの。」
彼女の目は深く澄んで、遠くを視ていた。
その深海のような眼は、微かな光も見逃すことなく吸収していく。
「つまり、どの空を飛んだか?」
「そう、落ちたとは限らないから。」
彼女は、空の光りを観て、宇宙の声を聴くことができた。
彼女は、いつも宙に訊いていた。
「あなたの仕事は、毎日、海を診ることでしょう。」
彼は、毎日、海を眺め、イルカやシャチの生態を調査していた。
シャチは、背びれの高さで、雌雄の違いが判る。
熱くなってきた海で、少しづつ異変が起きていることに、気付いていた。
そして、口笛のような鳴き声を聞いた。
「その時、雨を見たのよね?」
「ドシャブリの雨だった。」
「空は天と地の間なの。」
むなしい場所のはずだった。