温暖か時計

2009年11月28日

11月の空。
ミツバチが飛んでいる。
飛んでいるミツバチは、ほとんどメスだった。
卵管の先が針になっている。
オスは生殖のためだけに存在している。
ふだん環境指標生物として見慣れているミツバチは、メスだ。

ぼくたちは、女性をある種のイメージで考えて来た。
だから、相手に思いが通じない。

神から情熱を授けられた男と女がいる。
月明かりの中、夜の帳も怖くなかった。
彼は、病に打ち勝つことはできなかったが、歌声を残した。
彼女は、生き直すことを選んだ。
「わが子の命を救いたまえ。」
アメリカン・フィールド・サービスは、戦時中に傷病兵を救助した米野戦奉仕団から生まれた。
晴美の原風景だ。

妖精のように、多くの人に幸せを振りかけている。
ハルミが誕生したのは、父親が野戦病院で死んだ翌日だった。
父親は、炭素病でも、黒死病でもなく、マラリアに感染して死んだ。

30年後のぼくは、ハルミに出会った。
明るい笑顔、優しい心、人を思いやる態度に、元気をもらっている。


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温暖化時計

2009年11月25日

都市の連鎖が、温暖化を加速させている。
オリンピックの誘致を呼水に、投資を呼び込み、地下都市建設が進められた。
地球の平均気温が、産業革命以前より2℃以上上昇すると、人間がバタバタと死んで行く。
行き場は、地下しかない。

環境に適応した生命だけが、生き残る。
科学や技術で、自然が征服出来ると思うことは、思い上がりだ。
まして、もう始まっている温暖化の解決を、将来の技術に委ねても、間に合わない。
人間はこの世に生まれただけでは、人とは呼ばれない。
宗教は、様々な戒律を信者に求めるが、戒律を守ることは、世人には出来ない。
ただ、自然に生かされていることを知って、はじめて人となれる。

サイキは、東京のネオンや、エアコンの風を受けながら、
「自己否定」と、呟いた。
学生運動でよく使った言葉だ。
「現代人には、『ほどほど』の自制心が必要なんだ。」と、ゴン・アリュウが答えた。
地球を経営しようとするかぎり、地上から争いは絶えない。
経済は、本来誰のものでもない自然や地球に所有の概念を持ち込むだけだ。
「他人のために生きようとする奴は、この街にはいない。」
「ムダと分かっていても、努力することだ。」

ボーイフレンドジーンズの女子が、二人の到着を待っていた。




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温暖化時計

2009年11月22日

「わたしに、キッスをしたいの。」
死の直前、確実に死ぬとわかる数秒があった。
秋深い山で姉妹は、黙って向かい合い、精霊の声を聞いた。
見つめることで、忘れないように、瞳に姿を焼き付けた。
5才の少女の墓は、ただ土饅頭だった。

「小さな墓地ね。」
「海の向こうで死んだ人たちが、埋葬されている。」と、占い師が教えてくれた。
流れ着いたのは、ガラスの破片だけだった。
「人は死ぬともう会えなくなる。」と教えてくれた。
占い師は、流れ着いたガラスのカケラを拾い集め、墓地を作った。
「魂の再生を信じる?」
「いいや。」
300km先では戦争をしている。
空爆で銀色の雨が降り、ノバフタに拒絶された人の多くは、ガラスの雨に打たれて死んで行った。
30年前、ぼくは燃え盛る海でノアの方舟に乗っていた。

68億人いた地球の人口は、2016年以降、急激に減少を始めた。
水不足、感染症の拡大、食糧不作が続いた。
30年経っても、多くの魂は再生出来なかった。
少女だった肉体は消えさり、土饅頭は平らに戻った。

「わたしに触れていいのよ。」
人は肌を触れ合うことで、愛を感じ始める。
ぼくは30年後の未来から戻って来たハルミを抱き寄せた。
セックスをすると、みんな幸せになれる。



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温暖化時計

2009年11月19日

Let‘s kiss & make up.」
英語はよくわからないが、涙が出て来た。
生まれた日に見た月と空を、忘れたつもりでも、夕暮れになると探してしまう。
脳には、自分で動かせられない部分がある。
少女は、親を選んで生まれて来た。

アマツバメのさえずりが響き渡る広場を中心に村人は暮らしていた。
アマツバメが渡れなかった海を、教授が渡って来た。
朝な夕なに、聞こえて来るのは波と風だけ。
お香で迎える伝統的な作法で、村人は教授を迎えてくれた。
神秘を感じた。

ホワイトボードに書かれた『アヴェ・マリア』。
教会は閉鎖され、今、歌うことはできない。
集会は禁止されていた。
音楽に、社会や政治を変える力はない。
しかし、音楽は個人の意識に作用する。
「ぼくたちの友人に生きる希望を与えてください。」
新しい町の建設に、村人はかり出された。
「今、私たちは、どこにいるのだろう。」
閉鎖都市を前に、教授は自問させられた。

三姉妹が暮らしていた町は、碧い海のように深かった。
朝の冷たい海は、平和な時代の終わりを告げていた。
「秋の子、時計の針を見るのをやめよう。」
迷宮都市ノバフタにシャーマンはいた。



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温暖化時計

2009年11月14日

漆黒の闇は恐怖だ。
大人には過去がある。

平和な時代に、共有できた文化は、温暖化の時代、通用しない。
革命、ファシズム、連帯・・・・・・壁は突然崩れた訳ではない。
殺伐とした平和な時代でも、プロパガンダと思想外交は続けられた。

「ベルばら世代の革命が美しくても、仕事がなくなる恐怖が人民を支配する。」
金と暴力の支配だ。
情報は制限され、国民は誘導されている。
「実態を知らない無知が、他人事として、すませてしまう。」
個人データは国家で管理され、マスコミのアースコンシャス、体制翼賛会は人の魂や、人間の尊厳を奪ってしまう。
「今日が良ければ、明日はどうでもいい。」
悪人はつきない。
自分の犯した罪を全部他人に押し付けてしまう。

COP15を前に、EUは『域内でのCO2を1.2%削減できた。』と発表した。
『EU域内で、2020年までに、30%削減も可能』とノーベル賞受賞のオバマ大統領や、鳩山イニシアチブに応えた。

環境省は、2008年の温室効果ガス排出が1990年比で、1.9%増加したことを発表した。
経団連の御手洗冨士夫会長は、京都議定書に続く地球温暖化防止のための国際的な枠組み作りについて、「米国、中国など主要排出国の責任ある参加がない限り、日本も参加しないという決然とした態度で交渉に臨んでほしい」と述べ、日本だけが不利な条件を課されないよう、国際的な公平性の確保を強く求めた。
清水正孝副会長(東京電力社長)も「企業活力をそぐ環境税などには慎重な対応が必要」と指摘した。
家計負担を盾に譲らない。
COP15を前に、最後通告だった。

小沢環境大臣は、地球温暖化対策税(環境税)の具体案を発表した。
環境税の家計負担は、1世帯あたり年1,127円増と試算された。
温暖化の原因は、産業と、都市の浪費のエネルギーの大量消費にあるのに、なぜ、家計が環境税を負担するのだろうか?
エネルギーを大量消費する部門にかけるべき炭素税を、環境税と呼び替えて、広く家計に課税する大義は産業と都市のビジネス保護以外にない。
炭素税の目的は、低炭素への抑制と誘導だ。
ハードルが必要だ。

反対運動が起こった。
キャノンとの対話が必要だ。
大切なことは、距離を縮めることだ。
点でなく、プロセスで考えなくては、温暖化の解決は、経済問題にすり替えられてしまう。
生き残りのイス取りゲームだ。
壁の崩壊も、自由体制の解体も、資本の論理は予測している。
しかし、温暖化は予測よりずっと早く進んでいる。

革命、ファシズム、連帯・・・・・・壁の崩壊、これから先は現実だ。
30年後のぼくがいる。


Posted by グリーンワーク at 18:51 Comments( 0 )