地球温暖化対策推進法の排出量公表

2009年05月29日

政府の「地球温暖化問題に関する懇談化」メンバーの気候ネットワークが以下公表しました。

地球温暖化対策推進法の排出量公表制度により、4 月3 日に2007 年度の大口排出事業所の排出量が発表された。
この結果、前年より大口排出者の排出量、割合ともに大幅に増加、日本の排出の多くがごく限られた排出事業者により占められていることが改めて示された。
●わずか166 事業所で日本全体の半分を排出
2007 年度の日本の温室効果ガス排出量の半分は、88 の発電所と、78 の工場、あわせて166 事業所から排出されたことが明らかになった*。
2006 年度は200 事業所で半分を占めていた。大口への集中度が大幅に高まったことがわかる。
166 事業所の内訳をみると、88 発電所と18 製鉄所であわせて42%を占める。残る8%も素材系製造業とエネルギー産業(石油精製)で占められている。

超大口事業所の排出割合も増加
06 年度200 事業所で日本の50%を排出 → 07 年度は166 事業所で50%排出
06 年度は対象事業所等全体で68% → 07 年度は70%排出
9 億1200 万トン(直接排出、推定) 9 億5700 万トン(前年比5%増)

●14840 事業所+運輸622 事業者で70%
発電所・工場など14840 事業所と運輸業622社(荷主を除く)の温室効果ガス排出量は9 億5700 万トンと推計され、2007 年度の日本全体の温室効果ガスの70% *を占めた。
このうち省エネ法第1 種事業所(7716 事業所)だけで66%*を占める。
2006 年は事業所・運輸計で9 億1200 万トン**、日本の排出量全体に占める割合も68%であ
った。07 年度は排出量が約5%増加、割合も2ポイント増加した。

●排出増は主に電力と鉄鋼
対象事業所等全体では2007 年度の排出量(温室効果ガス全体、間接排出量)は前年度比1%
増加、直接排出量推計値では2%増加となった。うち、電力は4800 万トン(直接、前年比12%増)、
鉄鋼業は800 万トン(間接、前年比4%増)と、大幅に増加した。
東京電力では、鹿島火力を4 倍に、広野火力を1.8 倍に、LNG 火力を最大31%増やしたことが開示データで認められた。原発停止対応措置と思われる。一方、石炭火力発電所における排出増加も目立つ。電源開発の橘湾、松浦の各石炭火力、相馬共同火力(石炭火力)などが15~16%も排出を増加させたことも判明した。

なぜ、全国紙に経済各団体が連名で、温暖化問題の意見広告をだしたのでしょうか?
財界は、「考えてみませんか?日本にふさわしい目標を」と、
情報を制限して、国民を誘導していませんか?

ことさら、家庭での省エネを強調して、温暖化は解決できますか?

●必要性ますます高まる大口排出源対策
2007 年度の排出量公表で、日本の温室効果ガス排出量の約70%が15000 の大口事業所・運輸業からの排出で占められることが判明した。
現在、中期目標検討委員会で中期目標の議論が行われている。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が、温暖化の被害を最低限におさえるために先進国に求めた90 年比25~40%削減を日本で実現するには、日本の排出の70%を占める大口排出源、とりわけ50%を占める166の発電所・工場での実効性のある排出削減対策が不可欠である。
大口排出源の排出削減のため、欧米では、政府が排出上限枠を設定して行う義務参加型国内排出量取引制度が広がっている。これは、排出削減を義務化し、対策を行った者が市場でも報われる仕組みである。同時に、雇用の創出、国内需要回復策の柱として温暖化対策への投資を拡大させ、発電や産業に大規模な投資を行なうことで、大幅削減の道筋をつけるとともに産
業・雇用を生み出し、経済・産業全体のグリーン化を図ろうとしている。
しかしながら、日本は全てを自主的取組にまかせたままであり、排出削減の道筋も経済回復の道筋もみえない。日本の排出量が示されたいま、30%削減以上の中期目標、大口排出源への排出上限枠を設定した排出量取引制度を導入すべきである。また、太陽光発電の余剰電力のみを対象とするのではない、広く再生可能エネルギーを固定価格で買い取る制度を導入し、再生
可能エネルギーを飛躍的に拡大させる政策に転換し、大幅削減への道筋に踏み出すべきである。



Posted by グリーンワーク at 21:49│Comments(0)
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