温暖化時計
答えは、『イエス(あなたについていきます)』だった。
それは、ふいに走り去る風の足音に、短い挨拶を贈るような響きだった。
窓から見下ろすと、響き合うすべてのものが、焦燥渦巻く家々の谷間を迷走する道路と、今にも泣き出しそうに傾いた道標と、デモ隊によって、剥がされた敷石の上で、行き場を見失っていた。
旧式の町工場の壁には、『団結だ。労働者よ。学生よ。』と、印刷されたビラが貼られていたし、大きな背中の労働者もいっぱいいたが、這いつくばった家々の蹲った壁の前で、そのスピードは、やがて憂鬱へと失速して行った。
背後にソビエル壁の向こうは、低気圧の墓場と呼ばれている。
そこから吹いて来る重たい風が、低気圧の谷間のような家並みを通り過ぎて行くのがわかる。
その辺りの道は、たいがいが私道で、家から番犬の樺太犬が出て来て、吠えたり、娘さんが出てきて、「こんにちは」と挨拶をしたりした。
それは、ふいに走り去る風の足音に、短い挨拶を贈るような響きだった。
窓から見下ろすと、響き合うすべてのものが、焦燥渦巻く家々の谷間を迷走する道路と、今にも泣き出しそうに傾いた道標と、デモ隊によって、剥がされた敷石の上で、行き場を見失っていた。
旧式の町工場の壁には、『団結だ。労働者よ。学生よ。』と、印刷されたビラが貼られていたし、大きな背中の労働者もいっぱいいたが、這いつくばった家々の蹲った壁の前で、そのスピードは、やがて憂鬱へと失速して行った。
背後にソビエル壁の向こうは、低気圧の墓場と呼ばれている。
そこから吹いて来る重たい風が、低気圧の谷間のような家並みを通り過ぎて行くのがわかる。
その辺りの道は、たいがいが私道で、家から番犬の樺太犬が出て来て、吠えたり、娘さんが出てきて、「こんにちは」と挨拶をしたりした。
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温暖化時計
この箱の中には、カラフルなガラスのカケラがいっぱい入っているから、
「美しいけれど、さわると、ケガをするよ。」
「私は、どのカケラが輝いているかで、運勢がわかるの。」
「わたしは、水色が好き。」
「青い空の色ね。」
「かがやいているかな?」
「耀いているけど、深みがなければ、自分を見失うは。」
「それは、どういう意味なの?」
「あなたは、恋の話が聞きたいのかしら?」
「教えて。」
「星が2つ見えるわ。」
「どこに?」
「ほら、隣のグリーンと、奥のイエローよ。」
「グリーンは好きな色だけど、イエローしか見えない。」
「青い空に、星が2つ浮かんでいる。不思議ね。」
「よくないの?」
「心配はしなくていいのよ。昼間に星が見えることは稀なことなの。」
「それで?」
「あなたは直感を信じるタイプかしら?」
「そう。」
「あなたが好きな色は、遺伝的に近い存在ね。身近にいる方よ。」
「誰かな?」
「あなたは、直観で、遺伝的に遠くの方を選んでいる。あなたには見えているのね。」
「イエローは見えている。」
「あなたは、恋人を探す旅に出るわ。夜まで待てないのね。」
グリーンは、精霊の棲む森をイメージさせる。
精霊が祖先なら、遺伝的なつながりを意味している。
ガラスのカケラは、バラバラになった多様性。
ひとつ、ひとつが失われた物語の断片。
まるで秒針のように降り積もっていく。
流れ着いたガラスのカケラをひとつ・ひとつ拾い集めることが占い師の役目。
私は、棘のあるカケラしか拾わない。
「美しいけれど、さわると、ケガをするよ。」
「私は、どのカケラが輝いているかで、運勢がわかるの。」
「わたしは、水色が好き。」
「青い空の色ね。」
「かがやいているかな?」
「耀いているけど、深みがなければ、自分を見失うは。」
「それは、どういう意味なの?」
「あなたは、恋の話が聞きたいのかしら?」
「教えて。」
「星が2つ見えるわ。」
「どこに?」
「ほら、隣のグリーンと、奥のイエローよ。」
「グリーンは好きな色だけど、イエローしか見えない。」
「青い空に、星が2つ浮かんでいる。不思議ね。」
「よくないの?」
「心配はしなくていいのよ。昼間に星が見えることは稀なことなの。」
「それで?」
「あなたは直感を信じるタイプかしら?」
「そう。」
「あなたが好きな色は、遺伝的に近い存在ね。身近にいる方よ。」
「誰かな?」
「あなたは、直観で、遺伝的に遠くの方を選んでいる。あなたには見えているのね。」
「イエローは見えている。」
「あなたは、恋人を探す旅に出るわ。夜まで待てないのね。」
グリーンは、精霊の棲む森をイメージさせる。
精霊が祖先なら、遺伝的なつながりを意味している。
ガラスのカケラは、バラバラになった多様性。
ひとつ、ひとつが失われた物語の断片。
まるで秒針のように降り積もっていく。
流れ着いたガラスのカケラをひとつ・ひとつ拾い集めることが占い師の役目。
私は、棘のあるカケラしか拾わない。
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温暖化時計
それは、決して奪うことができないものだ。
新しい夜明けは、決して壁の向こうから来るのではなく、その瞬間、ぼくは生まれることができる。
ちっぽけな日溜りに逃げ込むより早く、精霊たちが棲む世界へ、感性のスピードが、ボッキして行くのが気持ち好かった。
野次と、怒号と、暴力と、精霊たちのコペルニクス的展開が始まった。
ボクは世界がどこに向かっているかなんて、少しも興味がなかった。
「どこから来て、」と、ぼくが聞いた。
「何もないような気がする。」と、そいつが言った。
「どこへいくのか?」と、ぼくは反復した。
そいつは、「何も残らない気がする。」と、澄んだ声で言った。
エコーだ。
沈黙が支配する誰もいない部屋の片隅で、そいつの声は木霊した。
聞いていたのは、風だけ。
見ていたのは、電熱器の赤いコイルだけだった。
窓の外では、風がちぎれて、雪になった。
背後にソビエル壁は、吹雪に霞んでいる。
新しい夜明けは、決して壁の向こうから来るのではなく、その瞬間、ぼくは生まれることができる。
ちっぽけな日溜りに逃げ込むより早く、精霊たちが棲む世界へ、感性のスピードが、ボッキして行くのが気持ち好かった。
野次と、怒号と、暴力と、精霊たちのコペルニクス的展開が始まった。
ボクは世界がどこに向かっているかなんて、少しも興味がなかった。
「どこから来て、」と、ぼくが聞いた。
「何もないような気がする。」と、そいつが言った。
「どこへいくのか?」と、ぼくは反復した。
そいつは、「何も残らない気がする。」と、澄んだ声で言った。
エコーだ。
沈黙が支配する誰もいない部屋の片隅で、そいつの声は木霊した。
聞いていたのは、風だけ。
見ていたのは、電熱器の赤いコイルだけだった。
窓の外では、風がちぎれて、雪になった。
背後にソビエル壁は、吹雪に霞んでいる。
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温暖化時計
「ここにやって来ると、誰でも、幸せを貯金したくなります。
そして、その貯金を誰が引き出しても、OKなのです。
ささやかだけど、幸せとは、穏やかな一日のことです。
穏やかな一日をひとり占めしようなんて、思う人は誰もいません。
あなたは、ラッキーですね。今日はいっぱい貯金ができますよ。」と、ガイドが笑顔で語り出した。
穏やかな一日を提供するエコツアーが人気を集めている。
そのツアーには、グルメも、スリルも、カジノも、観光スポットさえない。
「まず、知ることから、はじめましょう。」と、ガイドはガイダンスを始めた。
「そして、あなたに、出来ることがあったら、参加している自分を想像してみてください。」
「何かしたくなったら?」
「もっと知りたくなったら?」
「参加したくなったら?」と、ツーリストから質問が飛ぶ。
「急ぐことはありません。」
自称ラッキー(ガイド)は笑顔のままだ。
「先に進む前に、あなたにできることを想像してください。」
「わたしにできることが、こんなにあったの!」と、若い女性客がガイドブックを読みながら言った。
「あなたにできることを、お隣の方に伝えてください。」
ラッキーの笑顔が彼女に伝わり、彼女の笑顔が、隣の初老の紳士に伝わった。
幸せは伝染するらしい。
自分自身を見直すことから、エコツアーは始まっている。
精霊が棲む森に入る前の準備体操のようなものだ。
そして、その貯金を誰が引き出しても、OKなのです。
ささやかだけど、幸せとは、穏やかな一日のことです。
穏やかな一日をひとり占めしようなんて、思う人は誰もいません。
あなたは、ラッキーですね。今日はいっぱい貯金ができますよ。」と、ガイドが笑顔で語り出した。
穏やかな一日を提供するエコツアーが人気を集めている。
そのツアーには、グルメも、スリルも、カジノも、観光スポットさえない。
「まず、知ることから、はじめましょう。」と、ガイドはガイダンスを始めた。
「そして、あなたに、出来ることがあったら、参加している自分を想像してみてください。」
「何かしたくなったら?」
「もっと知りたくなったら?」
「参加したくなったら?」と、ツーリストから質問が飛ぶ。
「急ぐことはありません。」
自称ラッキー(ガイド)は笑顔のままだ。
「先に進む前に、あなたにできることを想像してください。」
「わたしにできることが、こんなにあったの!」と、若い女性客がガイドブックを読みながら言った。
「あなたにできることを、お隣の方に伝えてください。」
ラッキーの笑顔が彼女に伝わり、彼女の笑顔が、隣の初老の紳士に伝わった。
幸せは伝染するらしい。
自分自身を見直すことから、エコツアーは始まっている。
精霊が棲む森に入る前の準備体操のようなものだ。
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温暖化時計
風には、風の道があるように、冬が語りかけ出した。
今、風化したコンクリートの壁にしおらしく咲いた窓から、モノトーンに染まる部屋に、うつむきかげんの日溜りが差し込んでいる。
窓の外を、シュプレヒコールが通り過ぎていく。
心がぐちゃぐちゃになるなる前に、コーヒーを飲み、タバコを吸い、叩きつけるように深呼吸をした。
そして、いたたまれない気持を、唄うように吐いた。
唄い終わったマジック・サムのレコードが空回りをし、情況なんてものは、一向にその姿を魅せてはくれない。
終末、終末といいながら、いつ終末が終わるのかもわからない。
バッハの『無伴奏チェロ・・・・・』のように、本来使われた楽器はすでになく、今日的な楽器で演奏されなければならない宿命づけ。
しかし、風には風の道があるように、自分で見つけた生き方を歩むことは、素晴らしいと思う。
ボクは、世界なんか少しも怖くなかった。
ただ、ボクをボクたらしめることで、精一杯だった。
今、風化したコンクリートの壁にしおらしく咲いた窓から、モノトーンに染まる部屋に、うつむきかげんの日溜りが差し込んでいる。
窓の外を、シュプレヒコールが通り過ぎていく。
心がぐちゃぐちゃになるなる前に、コーヒーを飲み、タバコを吸い、叩きつけるように深呼吸をした。
そして、いたたまれない気持を、唄うように吐いた。
唄い終わったマジック・サムのレコードが空回りをし、情況なんてものは、一向にその姿を魅せてはくれない。
終末、終末といいながら、いつ終末が終わるのかもわからない。
バッハの『無伴奏チェロ・・・・・』のように、本来使われた楽器はすでになく、今日的な楽器で演奏されなければならない宿命づけ。
しかし、風には風の道があるように、自分で見つけた生き方を歩むことは、素晴らしいと思う。
ボクは、世界なんか少しも怖くなかった。
ただ、ボクをボクたらしめることで、精一杯だった。
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