温暖化時計

2009年08月04日

『15、16、17と・・・・・・。』
カラオケで覚えた人気者のお母さんのウタだ。
マリーアは、時々、スナックでカウンターレディをしていた。
客からせがまれて、このウタをよく唄った。

マリーアがアルバイトをしている店には、団塊世代の常連客が多かった。
店は、安保世代のたまり場だった。
「ボンジーア」と、片言で、客の男たちが入って来ると、
「ボアタイレ」と、笑顔で迎えた。
18才のマリーアは、彼らのアイドルだ。

マリーアは、家族や、コミュニティでは、ポルトガル語で話している。
マリーアは、昭和世代の日本語をカラオケで覚えた。
「昨夜のことは、もう聞かないで。」
「一緒に夜明けまで、ギターを弾こうよ。」
「アカシヤの」
リズム感がいいマリーアはすぐにウタを覚えた。

男たちは、マリーアの分からない言葉で議論をし、熱くなると、時々、喧嘩をした。
喧嘩をしても、「ぼくの行く所についておいでよ。」と、最後は、エレキの若大将の歌を唄って、帰って行った。

「最後の最後まで、恋は私を苦しめる。」
『夜間飛行』
スナックのママが、最後に必ず唄うウタだ。

そして、真夜中のドアを閉めた。

マリーアが、工場で覚えた日本語は、「ゴアンゼンニ」だった。



Posted by グリーンワーク at 00:14│Comments(0)
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