温暖化時計

2009年08月09日

再び、ハルミの歌声を聴いた。
ハルミの歌声は、以前より力強く、ナタを振り落とすようにギターを弾いていた。

地下鉄で行ける海に、制服の男たちがやって来た夏、ハルミは、男たちの上陸を阻止するピケ隊の中で唄っていた。
二本の弦をヒットさせるシンプルなリフのギターで、『ワルシャワ労働歌』を唄っていた。
情況と同じように混乱したシュプレヒコールの中で、聴衆は一瞬身を引き締めてから、どよめいた。
それは、どんな永遠よりも長く思える一瞬だった。
どこから、怒号と、暴力が飛んでくるかわからないピケ隊の中で、ハルミの歌は流れ始めた。

かつて人々は、王室や、上・中流階級には、それなりの敬意をはらって来た。
しかし、町を支えて来た炭鉱が閉鎖され、町には失業者が溢れた。
熱波がどこの町にも不況をもたらしている。
下積みの労働者たちは、生活の可能性は階級と同じで大望を抱くことができなくても、それはそれで幸せと考えて来たが、今では、職を失い、失業手当でビールを飲み、政府のやり方をあざけている。
それでも、人々の寒々とした訴えの声は、驚くほど静かだ。

そうした下積み労働者の寒々とした訴えは、重い風が吹き出した頃に、ようやく連帯として組織されていった。

ぼくに、愛と夢の深さを最初に気付かせてくれたのは、ハルミの歌声だった。



Posted by グリーンワーク at 06:42│Comments(0)
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