温暖化時計

2009年10月22日

季節外れの黄砂が降る秋の町で、ぼくのシャツは鮮血で染まった。
吹き出した命が目に沁みる。
ぼくは黄色い空を見上げた。
もうすぐ、ぼくの背中にも羽が生える。
シャーマンが眺める宙の光に包まれるために。

暴虐の雲、光を覆い、敵の嵐は荒れ狂う。
ひるまず進め我らが友よ、敵の鉄鎖を打ち砕け。
自由の火柱、輝かしく、頭上高く燃え立ちぬ。
今や最後の戦いに、勝利の旗は、ひらめかん。
立て兄弟よ、行け戦いに。
聖なる血にまみれん。
ワルシャワ労働歌が聞こえる。
遠くで聞こえる音。
エコーだ。

ぼくは、反響定位で、敵なのか、味方なのか測定した。

コルトガバメント。
米軍の軍用拳銃だ。
たった一発で、すべてを黙らせることができる。
ボリシェビキ人民の粉砕。
共産主義知識人の追放。
赤軍の壊滅。
催眠術だ。

軍事訓練は、壁に向かってのボイストレーニングから始まっていた。
どこまでも通る清澄な声、梵声を聞こうとしていた。
「声をエネルギーに換えなさい。」と占い師は教えてくれた。

大陸では、内部が乾燥し、夏草が枯れていた。
精霊なんて、どこにもいなかった。
少女は、祈るように歌っている。
黄砂が降る街角で、口笛を聞いた。




Posted by グリーンワーク at 21:45│Comments(0)
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