グリーンワーク

『百年に一度』の殺し文句で、７，０００億ドルの銀行救済が行われた。
ギブ・アンド・テークのシステムは、テークの方が多い。
政治の世界は、理屈だけでは動かない。
論理より、饒舌が求められる。
民衆に訴えるのは、情報より、情緒性だ。

デリバティブを説明できる銀行員はいないのに、資本の論理は金のある方に存在する。
同じ思想も、同じスローガンも必要がない。
だから、金融資本家のロビーストは温暖化法案を廃案に追い込もうとするのに、金融資本は中国でもインドでも炭素市場や炭素経済になだれ込む。
炭素は金の生る木を育てている。

ＣＯＰ１５は経済の利害対立で、新議定書の採択が先送りになろうとしている。

自然を破壊した文明が滅びる時が来る。
やがて、温暖化は経済をリセットする。
共同幻想は失われ、金融資本は行き場を失う。

『資本主義は悪のシステム』だと、悪を糾弾することは誰もできない。
経団連も、基幹労連も、情報を持つ者は、生き残りのイス取りゲームをもう始めている。

「温暖化時代の勝ち組か。」と、サイキは呟いた。
情報を持たない者は、絶滅の淵へ行進させられている。
ワルシャワのゲットーから貨物列車に詰め込まれるように。
「歴史は繰り返される。」
そう言うと、サイキはゴン・アリューが消息をたった壁へ車を走らせた。

ゴン・アリュウーは答えを告げないまま行ってしまった。