温暖化時計

2009年09月10日

教授は、海洋生物学者だ。
教授は、地球温暖化は、海洋での被害が顕著化し、結果、加速していると考えている。

大気中のCO2の増加で、海に溶け込むCO2の量も増加している。
海中のCO2増加で、海洋の酸性化が進んでいる。
1750年以降、表層海水のpHは、0.1低下している。

海の酸性化で、炭酸カルシュウムを作るサンゴやウニなど石灰化生物の骨格が溶け出している。
サンゴやウニなどは、CO2をその体内に蓄積してくれる生物だ。
石灰化生物の減少で、地球温暖化は加速している。

すでに、海洋中のCO2吸収量も飽和状態に近づいている。

海の生産を支える植物プランクトンにもCO2由来の酸性化の影響が出ている。
炭酸カルシュウムの殻を作る円石藻類などが同様の影響を受けている。

海洋の炭素循環だけでなく、食物連鎖の崩壊は、生態系、多様性に激変をもたらす。
シャチの背びれの変化を、教授は見逃してはいなかった。

教授は、2007年に国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第四次評価報告書が『温暖化が始まっていること』を断定する以前に、『世界の海はすでに酸性化している』と論文で発表していた。

その時代、経済学者を中心に、『地球温暖化に科学的根拠がない。』とする、経済界からの世界的キャンペーンの嵐が、教授の大学にも押し寄せていた。

教授の論文に反論する旗手として登場したのが、米国留学から帰った当時流行の環境経済学者だった。
彼女は、後に、元通産省官僚が作った投資運用会社を経て、金融審議会委員など、自民党政権下での内閣府研究委員を務めていくことになる。
自民党政権下で、彼女は後ろ向きの温暖化対策をとりまとて行く、つまり、あの元通産省官僚の後釜に収まった。

以降、日本では、経団連中心に、「科学的根拠を示せ。」と、2009年5月の新聞広告に見られる大合唱をしていくことになる。



Posted by グリーンワーク at 20:50│Comments(0)
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