温暖化時計

2009年11月11日

ひつじ田に立って、リーダーは非残党(ピーザント)と語った。
「立冬が過ぎても、初夏のように暖かい。」
「小春日和じゃないな。」
刈り取った稲の株から青々と新芽が伸びて、穂が実っている。

「太陽がいっぱい。」とマリーアが嬉しそうに言った。
原始の光のシャワーがマリーアに降り注いでいる。
年末の恒例となった派遣切り。
キャノンから契約解除されたマリーアは、アニータと、リーダーを訪ねて非残党の村にやって来た。

二酸化炭素の大気に包まれていた太古の地球にも降り注いでいた光だ。
原始の光には、魔力なような何かがあった。
なにより、季節が混在している。
「畑の土を踏むな。こうなったら、根を育てよう。」
「米は、結実の時期に熱波で、白濁化してしまった。」
「水の管理だけでは、もうだめだ。」
畑は雑草だらけの放任主義だが、野菜は自然の生命力の濃い香りや味がする。
原始の光を受けて育った野菜は、繁茂する雑草との競争に負けまいと、フィトンチッドを体内に蓄えていた。
フィトンチッドは、キリル文字で書かれた、ロシア語の造語で、『植物・殺す』。

「政権が交代しても、所詮コップの中の嵐だ。」
「悪党ども。森へ行こう。炭を焼こう。カルボナリ。」
「炭を焼いて、カルボナーラを食おう。」
都市の格差や、貧困は、ストレスから脳の機能を低下させ、免疫力を低下させる。
社会的弱者は、生きることに裁量権がなく、生活を楽しむ余裕もなく、常にストレスを抱えている。
「国民が安心して暮らせる社会。人々が幸福を感じられるような社会が必要だ。」
「国の借金がGDPの1.7倍もあるようでは、これまでの社会や経済の維持はムリ。」
温暖化の時代、これまでのストックをキープすることもできない。

「クリスマス・イヴの夜、森へ行こう。」
「この森の空気に包まれていると、魂が清められる。」
少女は、口琴と口笛で、様々な動物や、自然の音を唄うことができた。
原始のままの自然は、都市と違い楽に息をすることができた。

「わたしは、お父さんが死んだ翌日に生まれたの。」とマリーアが言った。
マリーアの父親は、死後、心理戦の果てのプロパガンダに利用された。
最初にプロパガンダと言う言葉を用いたのは、カトリック教会の布教聖省(Congregatio de Propaganda Fide)だった。




Posted by グリーンワーク at 18:49│Comments(0)
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