花はどこへいった

2010年07月10日

ノアの方舟から放った鳩がオリーブの枝を運んで来たという故事にちなんで、
9日間の祈りが続いた。

星になった村人が何人もいた。
いつ死ぬかわからないから、今日祈らないと、明日はないと知っていた。
マリア観音像が流れ着いた頃、すでに感染症の拡大が始まっていた。

子供の病気と思われがちな百日咳だが、麻疹に続き感染力が強い病気だ。
ワクチン未接種の赤ちゃんが罹ると、死にいたることもある感染症だ。
大人は症状が軽いため、治療を受けないまま周囲の人に感染させていた。

風のない暑い日、赤い軍服の兵士は、蜃気楼に念を送った。
「美しい言葉を話す美しい人は、電話もつながらない所へ行ってしまった。」
白鳥の歌となる詩が、彼の死後朗読された。
『目先のことにとらわれず、未来を見よう。』というメッセージを受け取るまで、ノアの箱舟の出航から100年がかかった。

その間も、変わりなく子供が産まれると村中で祝福した。
スターワッチング。
救世主の誕生を待ち望んでいた。
だから、赤ちゃんの死は、信仰だけでは救われない辛い体験だった。

カントリージェントルマンは渡河点に立っていた。
田舎弁護士や、商人に交じって、プラントハンターが市場に現れた。
市場リサーチとマーケティングをし、経済植物を発見することが彼の任務だった。

枝を挿し木すると、切り口に瘡蓋ができる。
その瘤は、葉っぱにも、根っこにもなれる万能細胞だ。
クローン胚だった。




Posted by グリーンワーク at 21:24│Comments(0)
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