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Posted by 滋賀咲くブログ at

温暖化時計

2009年10月15日

毎年繰り返される遅い秋の訪れ。
秋なのに、色々な花が狂い咲いている。

満月の夜だけ、地球照で、天に銀色の虹がかかる。
石畳と、壁と、教会の町に、ぼくはたどり着いた。
欲望という船を待ち切れずに、海峡を手漕ぎボートで逃げようとする人がいる。
忘れられない死者の名前がある。
死者の話を伝える蝶がいる。

雨の中、一人公園で泣いている少女に出会った。
ぼくは、差し出す傘がなかった。
「お父さんは?」と、ぼくは問いかけた。
少女は答えなかった。
兵士の姿に少女は怯えていた。
「女の子が一人で泣いていたら、心配になるじゃないの。」と、近所のおばさんが傘をさし出した。
少女は頷いた。
一人では生きていけない。
ぼくは、着剣したライフル以外に、あげるものも、もらうものも、何もなかった。
少女の父親は、黒い雨以外に、雨の名前を50も語ることができた。

ユートピア。
宗教を語る政治家はいるが、兵士は宗教家ではない。
多くの友人を失った。
みんなの幸福や、自由を守るために必要だった。

国中が戦争の熱にうなされている時、彼は武士の魂を持ち続けるために、どこにも属さず、何にもとらわれないで、雨が土に浸みこむように世の中をあるがままに生きて来た。
「命はどこにある?」
そういうと、彼は『来るな。ついて来るな。』とジェスチャーで押し返す仕草をした。
そして、「さよなら。」と、優しい声で言った。
彼は、少女の父親だった


Posted by グリーンワーク at 05:28 Comments( 0 )