温暖化時計
ひつじ田に立って、リーダーは非残党(ピーザント)と語った。
「立冬が過ぎても、初夏のように暖かい。」
「小春日和じゃないな。」
刈り取った稲の株から青々と新芽が伸びて、穂が実っている。
「太陽がいっぱい。」とマリーアが嬉しそうに言った。
原始の光のシャワーがマリーアに降り注いでいる。
年末の恒例となった派遣切り。
キャノンから契約解除されたマリーアは、アニータと、リーダーを訪ねて非残党の村にやって来た。
二酸化炭素の大気に包まれていた太古の地球にも降り注いでいた光だ。
原始の光には、魔力なような何かがあった。
なにより、季節が混在している。
「畑の土を踏むな。こうなったら、根を育てよう。」
「米は、結実の時期に熱波で、白濁化してしまった。」
「水の管理だけでは、もうだめだ。」
畑は雑草だらけの放任主義だが、野菜は自然の生命力の濃い香りや味がする。
原始の光を受けて育った野菜は、繁茂する雑草との競争に負けまいと、フィトンチッドを体内に蓄えていた。
フィトンチッドは、キリル文字で書かれた、ロシア語の造語で、『植物・殺す』。
「政権が交代しても、所詮コップの中の嵐だ。」
「悪党ども。森へ行こう。炭を焼こう。カルボナリ。」
「炭を焼いて、カルボナーラを食おう。」
都市の格差や、貧困は、ストレスから脳の機能を低下させ、免疫力を低下させる。
社会的弱者は、生きることに裁量権がなく、生活を楽しむ余裕もなく、常にストレスを抱えている。
「国民が安心して暮らせる社会。人々が幸福を感じられるような社会が必要だ。」
「国の借金がGDPの1.7倍もあるようでは、これまでの社会や経済の維持はムリ。」
温暖化の時代、これまでのストックをキープすることもできない。
「クリスマス・イヴの夜、森へ行こう。」
「この森の空気に包まれていると、魂が清められる。」
少女は、口琴と口笛で、様々な動物や、自然の音を唄うことができた。
原始のままの自然は、都市と違い楽に息をすることができた。
「わたしは、お父さんが死んだ翌日に生まれたの。」とマリーアが言った。
マリーアの父親は、死後、心理戦の果てのプロパガンダに利用された。
最初にプロパガンダと言う言葉を用いたのは、カトリック教会の布教聖省(Congregatio de Propaganda Fide)だった。
「立冬が過ぎても、初夏のように暖かい。」
「小春日和じゃないな。」
刈り取った稲の株から青々と新芽が伸びて、穂が実っている。
「太陽がいっぱい。」とマリーアが嬉しそうに言った。
原始の光のシャワーがマリーアに降り注いでいる。
年末の恒例となった派遣切り。
キャノンから契約解除されたマリーアは、アニータと、リーダーを訪ねて非残党の村にやって来た。
二酸化炭素の大気に包まれていた太古の地球にも降り注いでいた光だ。
原始の光には、魔力なような何かがあった。
なにより、季節が混在している。
「畑の土を踏むな。こうなったら、根を育てよう。」
「米は、結実の時期に熱波で、白濁化してしまった。」
「水の管理だけでは、もうだめだ。」
畑は雑草だらけの放任主義だが、野菜は自然の生命力の濃い香りや味がする。
原始の光を受けて育った野菜は、繁茂する雑草との競争に負けまいと、フィトンチッドを体内に蓄えていた。
フィトンチッドは、キリル文字で書かれた、ロシア語の造語で、『植物・殺す』。
「政権が交代しても、所詮コップの中の嵐だ。」
「悪党ども。森へ行こう。炭を焼こう。カルボナリ。」
「炭を焼いて、カルボナーラを食おう。」
都市の格差や、貧困は、ストレスから脳の機能を低下させ、免疫力を低下させる。
社会的弱者は、生きることに裁量権がなく、生活を楽しむ余裕もなく、常にストレスを抱えている。
「国民が安心して暮らせる社会。人々が幸福を感じられるような社会が必要だ。」
「国の借金がGDPの1.7倍もあるようでは、これまでの社会や経済の維持はムリ。」
温暖化の時代、これまでのストックをキープすることもできない。
「クリスマス・イヴの夜、森へ行こう。」
「この森の空気に包まれていると、魂が清められる。」
少女は、口琴と口笛で、様々な動物や、自然の音を唄うことができた。
原始のままの自然は、都市と違い楽に息をすることができた。
「わたしは、お父さんが死んだ翌日に生まれたの。」とマリーアが言った。
マリーアの父親は、死後、心理戦の果てのプロパガンダに利用された。
最初にプロパガンダと言う言葉を用いたのは、カトリック教会の布教聖省(Congregatio de Propaganda Fide)だった。
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温暖化時計
ぼくの肩につかまり、彼は逝ってしまった。
通称ブルドッグと呼ばれる44口径の弾丸が彼の身体を貫いた。
「テロリストは、麻薬の代わりにエネルギーを密売し、暴力の連鎖が続く。」
哲人の風貌をしたゴン・アリューが最期に口にしたのは、心理戦の果てのパブリイクイメージだった。
「温暖化と、核廃絶は、20世紀に解決すべき問題だった。」
しかし、金と暴力の支配がそれを許さなかった。
「社会が家を建ててくれるわけではない。」
「国家に必要なものはマーケットと人だった。」
グローバル社会に必要なものはマーケットだ。
1970年以降急激に増加したCO2排出に対し、20世紀中は1.5℃上昇の危険性が指摘され始めた。
産業革命以前より世界の平均気温が1.5℃上昇することは、自然が再生のバランスを失い、ティピングポイント(融解点)を迎える引鉄となるからだった。
しかし、21世紀に入り、過去に出した温室効果ガスで1.5℃上昇が確実となるとわかると、人間が適応できなくなる2℃上昇がメルクマールに置き換えられた。
2℃上昇で、2040年頃から、地球の肺と呼ばれるアマゾンが乾燥化するからだ。
「温暖化と、核廃絶は、外交交渉のカードではない。」
リーマンショック以降、地球サミットでのブラジル・リオ宣言『持続可能な地球環境』は顧みられることはなかった。
危険な水準の明示がされないまま、金と暴力の支配は続いた。
「21世紀は、エネルギーが枯渇する。」
21世紀に入ると、経済界はオイルピークを囁きはじめた。
石油40年、天然ガス61年、ウラン64年、石炭227年と予測されていた。
もう助からないと思っていたが、ユートピアのモメンタムが奇跡を起こした。
温暖化で、北上を続けるドール(赤狗)を追ってきたゴン・アリューは、マラリアで焼かれた村から、アマツバメを育てる少女を連れて来た。
長い旅の果てに、ゴン・アリューは哲人の風格を身に付けていた。
まさかこんなことが起こるとは、少女は亡くなった父親と入れ替わりに産まれて来た年忌子だった。
少女は、父親の生まれ変わりではなかったが、答えを告げずに逝ってしまった父親の武士の魂を伝え出した。
「村人は『吸い込まれそうな深い森の中に精霊が棲んでいる。』と信じている。」
通称ブルドッグと呼ばれる44口径の弾丸が彼の身体を貫いた。
「テロリストは、麻薬の代わりにエネルギーを密売し、暴力の連鎖が続く。」
哲人の風貌をしたゴン・アリューが最期に口にしたのは、心理戦の果てのパブリイクイメージだった。
「温暖化と、核廃絶は、20世紀に解決すべき問題だった。」
しかし、金と暴力の支配がそれを許さなかった。
「社会が家を建ててくれるわけではない。」
「国家に必要なものはマーケットと人だった。」
グローバル社会に必要なものはマーケットだ。
1970年以降急激に増加したCO2排出に対し、20世紀中は1.5℃上昇の危険性が指摘され始めた。
産業革命以前より世界の平均気温が1.5℃上昇することは、自然が再生のバランスを失い、ティピングポイント(融解点)を迎える引鉄となるからだった。
しかし、21世紀に入り、過去に出した温室効果ガスで1.5℃上昇が確実となるとわかると、人間が適応できなくなる2℃上昇がメルクマールに置き換えられた。
2℃上昇で、2040年頃から、地球の肺と呼ばれるアマゾンが乾燥化するからだ。
「温暖化と、核廃絶は、外交交渉のカードではない。」
リーマンショック以降、地球サミットでのブラジル・リオ宣言『持続可能な地球環境』は顧みられることはなかった。
危険な水準の明示がされないまま、金と暴力の支配は続いた。
「21世紀は、エネルギーが枯渇する。」
21世紀に入ると、経済界はオイルピークを囁きはじめた。
石油40年、天然ガス61年、ウラン64年、石炭227年と予測されていた。
もう助からないと思っていたが、ユートピアのモメンタムが奇跡を起こした。
温暖化で、北上を続けるドール(赤狗)を追ってきたゴン・アリューは、マラリアで焼かれた村から、アマツバメを育てる少女を連れて来た。
長い旅の果てに、ゴン・アリューは哲人の風格を身に付けていた。
まさかこんなことが起こるとは、少女は亡くなった父親と入れ替わりに産まれて来た年忌子だった。
少女は、父親の生まれ変わりではなかったが、答えを告げずに逝ってしまった父親の武士の魂を伝え出した。
「村人は『吸い込まれそうな深い森の中に精霊が棲んでいる。』と信じている。」
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21:15
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温暖化時計
すべての武器をシェラヘ。
前衛を捨てた労働組合はナンセンスだ。
基幹労連の行為は、恥ずべき行為だ。
2008年~12年は、京都議定書の第一約束期間だ。
日本は、90年比でマイナス6%のCO2の削減を世界に約束した。
しかし、京都議定書の初年度に当たる2008年、日本のCO2の輩出量が90年比で、プラス7.4%になってしまった。
旧自民党政権は、経団連や基幹労連の圧力で、森林吸収源や他の国からの削減分から得て来る仕組みで、マイナス6%を達成するつもりだった。
しかし、経済産業省が主張する省エネ法の規制がかからないまま、産業はエネルギーの大量消費を続けた。
もともと、国連も、世界も、森林のCO2吸収に疑問を呈していた。
有機物は、炭素の化合物だ。
木が成長する過程で、約1tのCO2を吸収するが、成長すると呼吸によるCO2排出で、プラマイ0になることが解っている。
森林吸収源は、日本が京都メカニズムとしてごり押ししたルールとして、世界の常識だ。
旧自民党政権は、国民に説明責任を果たさないまま、家庭での省エネをことさら強調して来た。
一党独裁時代、説明責任は存在しなかった。
政治に必要なものは、温暖化の解決であって、経済の問題ではない。
メーク・ザ・ルールが必要だ。
藤晴美たちがビルでアマツバメの養殖を始めた時、副産物を予期していなかった。
ビルを洞窟に見立て、アマツバメの養殖を始めた。
巣にするためピストンのように、ビルを区切った。
そこから、口笛のような泣き声が聞こえて来た。
口笛は、空気を移動させて、熱を発生した。
夜も美しいエネルギーに、温暖化への挑戦が始まった。
「アーバンから、ルーラルへ。リャノから、シェラへ。」
晴美は、口笛に梵声を聞いていた。
エコーだ。
「エコでは解決できない。」
覚悟が必要だ。
悪いことは悪いと言うべきだ。
前衛を捨てた労働組合はナンセンスだ。
基幹労連の行為は、恥ずべき行為だ。
2008年~12年は、京都議定書の第一約束期間だ。
日本は、90年比でマイナス6%のCO2の削減を世界に約束した。
しかし、京都議定書の初年度に当たる2008年、日本のCO2の輩出量が90年比で、プラス7.4%になってしまった。
旧自民党政権は、経団連や基幹労連の圧力で、森林吸収源や他の国からの削減分から得て来る仕組みで、マイナス6%を達成するつもりだった。
しかし、経済産業省が主張する省エネ法の規制がかからないまま、産業はエネルギーの大量消費を続けた。
もともと、国連も、世界も、森林のCO2吸収に疑問を呈していた。
有機物は、炭素の化合物だ。
木が成長する過程で、約1tのCO2を吸収するが、成長すると呼吸によるCO2排出で、プラマイ0になることが解っている。
森林吸収源は、日本が京都メカニズムとしてごり押ししたルールとして、世界の常識だ。
旧自民党政権は、国民に説明責任を果たさないまま、家庭での省エネをことさら強調して来た。
一党独裁時代、説明責任は存在しなかった。
政治に必要なものは、温暖化の解決であって、経済の問題ではない。
メーク・ザ・ルールが必要だ。
藤晴美たちがビルでアマツバメの養殖を始めた時、副産物を予期していなかった。
ビルを洞窟に見立て、アマツバメの養殖を始めた。
巣にするためピストンのように、ビルを区切った。
そこから、口笛のような泣き声が聞こえて来た。
口笛は、空気を移動させて、熱を発生した。
夜も美しいエネルギーに、温暖化への挑戦が始まった。
「アーバンから、ルーラルへ。リャノから、シェラへ。」
晴美は、口笛に梵声を聞いていた。
エコーだ。
「エコでは解決できない。」
覚悟が必要だ。
悪いことは悪いと言うべきだ。
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温暖化時計
「どこへ連れて行くの。」と、少女が訊ねた。
「ここよりずっといい所だ。」と、ぼくは答えた。
アマツバメのさえずりが響き渡る広場を中心に村人は暮らしていた。
広場から見渡せるエリアが一つの共同体だった。
教会のミサが行われる時間に、村人は広場に集められ、リストにもとづいて整列させられた。
リストアップされた者は、船に乗せられる。
行き先は、温暖化の呪縛から解放され、自由な未来を創造する新しい町『ノバフタ』だった。
憩いの場所に、夕暮れを告げる鐘が鳴り響く代わりに、銃声が轟いた。
そこは、労働収容所だった。
行進する列の中で、村人は振り返り、少女は祈りの歌を唄った。
入江に灯されたまばらな明かり。
アマツバメが生み出すエネルギーが失われたのだ。
やせた月が、制服の男たちを照らし出している。
マラリアで、村は制服の男たちによって焼き払われている。
少女は、感情を歌に乗せることができた。
少女は、情景を込めて唄っているだけではなかった。
少女は、やせた月に地球照を見ていた。
少女の父親は、今も彼女のそばにいて、光の手を差し伸べている。
その時、彼は村のリーダとして、すでに兵士に連行されていた。
ぼくは、彼を助けようとしたが、「来るな。」と手を振った。
音楽好きだった父親は、少女がジュリアードで学ぶことを願っていた。
「お父さんが、好きだった。」という歌に、ぼくは梵声を聞いていた。
少女にも、聞こえていた。
だから、少女は、「お父さんも聞いてくれたと思う。」と囁いた。
エコーだ。
「ここよりずっといい所だ。」と、ぼくは答えた。
アマツバメのさえずりが響き渡る広場を中心に村人は暮らしていた。
広場から見渡せるエリアが一つの共同体だった。
教会のミサが行われる時間に、村人は広場に集められ、リストにもとづいて整列させられた。
リストアップされた者は、船に乗せられる。
行き先は、温暖化の呪縛から解放され、自由な未来を創造する新しい町『ノバフタ』だった。
憩いの場所に、夕暮れを告げる鐘が鳴り響く代わりに、銃声が轟いた。
そこは、労働収容所だった。
行進する列の中で、村人は振り返り、少女は祈りの歌を唄った。
入江に灯されたまばらな明かり。
アマツバメが生み出すエネルギーが失われたのだ。
やせた月が、制服の男たちを照らし出している。
マラリアで、村は制服の男たちによって焼き払われている。
少女は、感情を歌に乗せることができた。
少女は、情景を込めて唄っているだけではなかった。
少女は、やせた月に地球照を見ていた。
少女の父親は、今も彼女のそばにいて、光の手を差し伸べている。
その時、彼は村のリーダとして、すでに兵士に連行されていた。
ぼくは、彼を助けようとしたが、「来るな。」と手を振った。
音楽好きだった父親は、少女がジュリアードで学ぶことを願っていた。
「お父さんが、好きだった。」という歌に、ぼくは梵声を聞いていた。
少女にも、聞こえていた。
だから、少女は、「お父さんも聞いてくれたと思う。」と囁いた。
エコーだ。
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