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Posted by 滋賀咲くブログ at

花はどこへいった

2010年06月13日

PⅡに捧ぐ。
ピアノの伴奏に合せてテルミンがサンサースの『白鳥』を演奏している。

2年前のことだけど、もうずいぶん前のことのように思える。
彼は、命には限りがあることを知っていたから、逆算で考えていた。
未来は、覚悟が出来ているかで決まる。

エネルギー開発のダム建設は、捕虜を使って始められた。
多くの殉死者を出した。

今夜、殉死した40人のパートがある合唱がダムサイトに響いた。
美しいハーモニーのインノミネの合唱の後、彼女はピアノに向かった。
野奏曲。
PⅡへの鎮魂歌だった。

ダム湖に風が吹き抜けた。
「テルミンが聞こえたかい?」
彼女は、白鳥の湖の国からやって来た。
「いつも隣で、笑っていたかった。」
君に会うまでは、マリーアを知らなかった。

マリア像がダム湖に沈められた。
「翼を休めて下さい。」
白鳥は海を渡ってやって来る。


Posted by グリーンワーク at 06:58 Comments( 0 ) 近未来小説