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Posted by 滋賀咲くブログ at

温暖化時計

2009年08月16日

ゴン・アリューの仕事は、地球が本当につまらない場所になっていないことを確認することだった。

ゴン・アリューは、北上を続ける赤狗(ドール)を追跡していた。
ドールは、南方系の生き物だ。
犬の祖先に近いと考えられているが、北米起源の狼とは別の系統だ。

ゴン・アリューは、壁の向こうに氷河があることも、凍土に覆われた大陸のような大地のことも知っていた。
学生時代に、ゴン・アリューは、野生馬のレナ馬の調査をしたことがあった。

かつて、この森の王者は、クマだった。
クマは、もともと低山の生き物だ。
夏場は低山にいて、広葉樹林のモンゴリナラのドングリや、チョウセンゴヨウの堅果や、カラフトハナウドや、アイヌブキの茎などを餌にしている。
ダケカンバや、アカエゾマツの森を登り、壁には、コケモモや、クロマメノキくらいしか、餌がないが、今は、ドールに追われて、雪と氷が支配するオオシラビソの林で、命脈を保っている。

壁は、戦後一貫して、禁断の地として封鎖されて来た。

今、ゴン・アリューの仕事は、地球が、まだ、存在しているかを確かめることだ。

サイキは、世界が、まだ、存在しているかを確かめている。





Posted by グリーンワーク at 19:45 Comments( 0 ) 近未来小説