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Posted by 滋賀咲くブログ at

温暖化時計

2009年08月27日

「占い師は、壁の向こうにいる。」と、エコーが言った。

壁の前では、すべてが鎮魂歌に聞こえた。
壁は、磁石のように音を吸い寄せて、沈黙している。

壁は、一面に落書きされていた。
ダムハウスの間接照明の薄明かりの下で、
かすかに、『アーバンから、ルーラルへ。リャノから、シェラへ。』と読めた。

壁の向こうでは、今まで見えなかった真実が語られているのだろうか。
ぼくは、ぼく自身のあらゆる血管や、神経を通して、滅び行くものへの鎮魂歌を聞こうとした。

「何もない気がする。」
「何も残らないきがする。」
エコーだ。

「まず、自分の欲しいものから、壁に書きなさい。」

壁には、黒い花びらが一輪。
その声は壁の向こうから聞こえて来た。

「反響測定は、訓練すれば、人間も出来るのよ。」

彼女は、宙の声を聞くことができる。

「メロンのように、頭を柔らかくしなさい。」
人は種を蒔き、感情を育て、その実を食べる。



Posted by グリーンワーク at 22:14 Comments( 0 ) 近未来小説