グリーンワーク

食は、本来、命をつなぐものだ。
お金と、命と、どちらが大事だ。
2009年のＣＯＰ１５（条約締約国会議）で、はじめて『温暖化』と『食糧難』がリンクして議論された。
それまで、温暖化問題は、感染症の拡大や、水不足が語られて来たが、新型インフルエンザの流行や、大陸内部の乾燥化など、すでに現実化していた。

「ピーザントの村へよく行くの？」と、晴美が訊ねた。
マリーアは笑みで答えた。
「彼らは何か言っている？」
マリーアは、首を振った。
「そうね、革命とか？」
マリーアは、日本語がよく解らないふりをした。
「じゃ、そのビラはどこでもらったの？」
マリーアは、キャノンの工場で、ビラを配っていた。
ビラには、『悔い改めよ、終末は近い。』と書かれてあった。
マリーアは、何も答えないまま、翌日、派遣会社をクビになった。

2012年にＩＭＦが工場の海外移転出で財政破綻した日本を『ネバダレポート』をもとに管理下に置いた直後から、晴美は黒い羽根の募金を始めていた。
世界の気温が１．５℃上昇した2016年には、晴美は、アメリカンフィールドサービスの体験から、野戦奉仕団を結成した。

ハルミは、キャノンチルドレンだった。
「どこへ行くの。」と、ビラを受け取ったハルミが聞いた。
「スペシャルナな場所だ。」と、非残党が言った。
「予想以上に進行が早いのね。」
「時間がない。」
ビラには、『団結だ。労働者よ、学生よ。』と書かれていた。
キャノンチルドレンは、黒い羽根の募金で育てられた。