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Posted by 滋賀咲くブログ at

温暖化時計

2009年07月26日

「ここにやって来ると、誰でも、幸せを貯金したくなります。
そして、その貯金を誰が引き出しても、OKなのです。

ささやかだけど、幸せとは、穏やかな一日のことです。
穏やかな一日をひとり占めしようなんて、思う人は誰もいません。

あなたは、ラッキーですね。今日はいっぱい貯金ができますよ。」と、ガイドが笑顔で語り出した。

穏やかな一日を提供するエコツアーが人気を集めている。
そのツアーには、グルメも、スリルも、カジノも、観光スポットさえない。

「まず、知ることから、はじめましょう。」と、ガイドはガイダンスを始めた。
「そして、あなたに、出来ることがあったら、参加している自分を想像してみてください。」
「何かしたくなったら?」
「もっと知りたくなったら?」
「参加したくなったら?」と、ツーリストから質問が飛ぶ。
「急ぐことはありません。」
自称ラッキー(ガイド)は笑顔のままだ。

「先に進む前に、あなたにできることを想像してください。」
「わたしにできることが、こんなにあったの!」と、若い女性客がガイドブックを読みながら言った。
「あなたにできることを、お隣の方に伝えてください。」
ラッキーの笑顔が彼女に伝わり、彼女の笑顔が、隣の初老の紳士に伝わった。
幸せは伝染するらしい。

自分自身を見直すことから、エコツアーは始まっている。
精霊が棲む森に入る前の準備体操のようなものだ。



Posted by グリーンワーク at 15:53 Comments( 0 )

温暖化時計

2009年07月26日

風には、風の道があるように、冬が語りかけ出した。

今、風化したコンクリートの壁にしおらしく咲いた窓から、モノトーンに染まる部屋に、うつむきかげんの日溜りが差し込んでいる。
窓の外を、シュプレヒコールが通り過ぎていく。

心がぐちゃぐちゃになるなる前に、コーヒーを飲み、タバコを吸い、叩きつけるように深呼吸をした。
そして、いたたまれない気持を、唄うように吐いた。

唄い終わったマジック・サムのレコードが空回りをし、情況なんてものは、一向にその姿を魅せてはくれない。
終末、終末といいながら、いつ終末が終わるのかもわからない。

バッハの『無伴奏チェロ・・・・・』のように、本来使われた楽器はすでになく、今日的な楽器で演奏されなければならない宿命づけ。

しかし、風には風の道があるように、自分で見つけた生き方を歩むことは、素晴らしいと思う。

ボクは、世界なんか少しも怖くなかった。
ただ、ボクをボクたらしめることで、精一杯だった。




Posted by グリーンワーク at 08:08 Comments( 0 )

温暖化時計

2009年07月26日

工場で働くマリーア。

マリーアは、日系ブラジル移民の4世だ。
小学生の時に、両親と日本にやって来た。
成長して、十代の彼女も日系労働者となった。

彼女の祖々母は、昭和恐慌の時代に、ブラジルに単身移民した。
3ヵ月の船旅だった。
彼女の実家には、セピア色の写真が一枚残されている。
当時としては、ハイカラな洋装の少女の写真だ。
破産した家計を助けるために、彼女の兄は、家出同然で大阪で働いていた。
その兄が写真館で撮影させた写真だ。

渡伯する絹江を見送ったのも、この兄一人だった。
恐慌で経済破綻した農村から、無一文の少女が長い船旅に出た。
「お兄ちゃん、さようなら、(日本)」
洋装をまとった少女が軽やかに世界へ旅立った。

「ボンジーア」
マリーアはキャノンで派遣社員として働いている。



Posted by グリーンワーク at 01:34 Comments( 0 )